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  1. Competition Corner

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公正取引委員会によるアルゴリズム/AIの分析・検討

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1 Min Read

Author

Jeffrey J. Amato

Related Locations

New York

Related Topics

Antitrust Intelligence
International Antitrust
Technology Antitrust
Disruptive Technology

Related Capabilities

Antitrust/Competition
Technology Antitrust
Technology, Media & Telecommunications

Related Regions

North America

April 22, 2021

デジタル市場における競争政策に関する研究会(「本研究会」)が、「アルゴリズム/AIと競争政策」と題する報告書(「本報告書」)を公表しました。[1]本報告書は、公正取引委員会(「公取委」)がデジタル市場における競争法上の課題に適切に対処できるよう、アルゴリズム/AIに関連する競争政策上の課題・論点について理論的な整理を行ったものです。本研究会は公取委によって開催され、経済学・競争法の専門家だけでなく、工学・情報法の専門家を含めた有識者によって構成されています。本報告書は、2020年7月から2021年3月にかけて8回にわたり行われた本研究会における議論をまとめたものであり、(i)価格カルテル等の協調的行為、(ii)ランキング操作やパーソナライズド・プライシング等の単独行為、(iii)データの集積による競争優位性、(iv)デジタルプラットフォームの問題について検討しています。それぞれの論点の概要について以下で順に解説します。

*                    *                    *

協調的行為

近年、アルゴリズム/AIが市場調査や価格設定に活用されることが増えてきている。本報告書は、アルゴリズム/AIの活用により企業が即時に競争相手の値付けに反応できるようになったことで事業者間の価格競争が活発化したことを認めつつ、アルゴリズム/AIが、現行の規制では捉えられない新たな形態の協調的行為を助長する可能性を懸念している。加えて、アルゴリズム/AIが競争事業者の監視と価格カルテルの強化に利用され得るという問題も指摘している。

本報告書はアルゴリズムによる協調的行為を以下の4パターンに分けて検討している。

  1. カルテル参加者の監視と制裁によるカルテルの強化
  2. ハブとして機能する同一アルゴリズムの利用によるハブアンドスポーク型カルテルの形成
  3. シグナリングによる協調的な価格調整
  4. 自己学習型アルゴリズムによる協調的行為

本報告書は、アルゴリズムによる協調的行為に対しても基本的に現在の独占禁止法の解釈・運用によって対応可能であるとしつつ、自己学習型アルゴリズムについては、協調的行為に至るプロセスが明らかではないことから、今後の技術発展や利用状況を注視すべきであると述べている。 

単独行為

豊富な製品・サービスが提供されるEコマースプラットフォームでは、消費者の商品選択を補助し、商品の購入に導く手段として、ランキングシステムの重要性が高まっている。本報告書は、ランキングサービス市場において有力な地位を占めるランキング提供事業者がランキングシステムを恣意的に操作する事例を検討し、反競争性が認められる例として以下のものを挙げている。

  1. ランキングにおける自己優遇:(i)自社若しくは関連会社又は(ii)決済・配送サービス等の追加サービスを利用する事業者の製品をランキング上有利に取り扱うこと
  2. 最恵国待遇条項や排他的な条件の受け入れをランキングの考慮事項とすること
  3. 優越的な地位にあるランキング提供事業者が、ランキングを操作できる立場にあることを利用して、利用事業者を自らの要請に従わせたり、一方的な条項を受け入れさせること

デジタル市場における単独行為に関するもう一つの論点は、消費者の情報を収集・分析して行われるパーソナライゼーションである。パーソナライゼーションによって、価格を含む取引条件を、消費者の選好に応じて個別に定めることが可能になる。本報告書は、取引数量、決済条件、配送条件等に応じて取引価格に違いが生じることは経済活動一般に広くみられるものであること、価格差別には統一的な価格設定の下では生じないような生産量の拡大効果あることを認めつつ、市場において有力な地位を占める事業者が行う価格差別は競争者の排除につながりかねないと警戒している。すなわち、有力事業者が、これまでに蓄積した個人データを利用して、競争事業者と競合することが見込まれる顧客に狙いを定めて値引きを行ない、競争事業者を市場から排除する可能性が指摘されている。

データの集積による競争優位性

本報告書は、データの収集とアルゴリズム/AIによる分析がどのように競争上の優位性を生み出すかという点についても分析しており、「データ駆動型ネットワーク効果」と呼ばれる正の循環について説明している。一定のユーザーを持つ事業者はユーザーから得られるデータによってサービスの品質を向上させることができ、それによってより多くのユーザーを獲得し、さらにデータを収集することができる。サービスの収益化が実現している場合、収益を投資に回すことでユーザーベースを拡大することができるため、このサイクルは一層強化される。データ駆動型ネットワーク効果の特徴は、事業者がクリティカル・マスを達成すると、データ収集が持続的・増幅的に向上するという点にある。この自己強化的なサイクルは競争事業者の新規参入・事業拡大の障壁になるとともに、独占力を強化し、最終的には独占的地位を維持するために反競争的行為を行う動機となり得る。

デジタルプラットフォームの問題

本報告書は、これまで述べてきた論点について、アルゴリズム/AIを活用するデジタルプラットフォームと関連付けて、以下のとおり留意点を整理している。

1. ランキング操作

クリティカル・マスを達成し、市場で支配的な地位を得たデジタルプラットフォームは、そのプラットフォームを利用する事業者にとって需要者にアクセスするための重要な販路(ゲートウェイ)となり、ランキングシステムが大きな影響力を持ち得る。市場支配力を有するプラットフォームにおいて、自社優遇をはじめとするランキング操作による反競争的行為が行われていないか。

2. パーソナライズド・プライシング

多くの取引データやユーザー情報等を収集できる立場を利用して、パーソナライズド・プライシングによって競争事業者が排除されていないか。

3. 協調的行為

プラットフォームに出店している事業者らが、そのプラットフォームで提供されている同一の価格設定アルゴリズムを利用することによって、それぞれの販売価格が調整されるというハブアンドスポーク型カルテルが生じていないか。

4. データの集積に伴う競争優位性

デジタルプラットフォーム事業者によって、競争事業者が十分なユーザーベースを獲得することを不当に妨げるような行為が行われないか。

実務上の留意点

本報告書には公取委がアルゴリズム/AIによる反競争的行為に対して今後どのようにアプローチすべきかが示されている。本報告書の記載を踏まえると、デジタルプラットフォーム事業者を含め、アルゴリズム/AIを利用して日本で事業を行う事業者が特に留意すべき事項として、以下の点が考えられる。

協調的行為

  • 競争事業者間の価格を調整するアルゴリズムの利用はカルテル合意とみなされるおそれがある。競争事業者間でのアルゴリズムの性能・運用についての情報交換は避ける。
  • 競争事業者の値上げに追随するアルゴリズムの利用はカルテル合意の存在を示す証拠となり得る。アルゴリズムによる競合分析を行う場合はその理由を慎重に記録しておくとともに、そのアルゴリズムが他の事業者との協調的行為を行うものではないことを明確にする。
  • 自己学習型アルゴリズムは各国独禁当局の関心を集めている。自己学習型アルゴリズムによる予期しない独禁法違反を防ぐべく、コンプライアンスポリシーを強化するとともに、セーフガード機能を導入する。

単独行為

  • 本報告書は、公取委がアルゴリズムを利用した反競争的行為に関する調査に当たって、アルゴリズムの学習用データのバイアスの調査、内部文書やソースコードに基づくアルゴリズムのロジックの検討、入力データとそれに対応する出力データの組み合わせの検証等を行うことを提案している。このような新たな調査手法への対応として、アルゴリズムの開発工程に反競争的行為につながり得る不当な操作やバイアスがないことを明確にする。
  • パーソナライズド・プライシングを行う場合、需要者の選好に基づいて価格が設定されたことを示す記録をシステム上に残しておき、競争事業者の事業に干渉することを企図したものではないことを示す。

米国及び諸外国における検討状況

アルゴリズム/AIの利用がもたらし得る競争上の弊害については、日本以外の諸外国も検討を進めている。本報告書の別紙では、国際機関や様々な国の競争当局が作成したアルゴリズム/AIを巡る競争法上の問題についての報告書等が紹介されている。また、米国、イギリス、欧州及び韓国等の競争当局が取り組んだアルゴリズム/AIに関連する事件についても言及されており、その概要は以下のとおりである。

  • コンピューター予約システムを通じた航空会社間のカルテル。予約システム上で、価格情報を共有し、価格変更の予定を相互に通知し、価格の値上げ幅を調整。
  • オンラインマーケットプレイスにおけるオンライン販売事業者らによる価格設定アルゴリズムを利用したカルテル。
  • オンライン旅行予約システムを運営する会社がハブとなり、各旅行代理店間で割引率の上限が統一されたハブアンドスポーク型カルテル。
  • ガス・電力供給事業者間でのソフトウェアを利用した市場分割。
  • オンライン旅行代理店が所定の契約条件を受け入れたホテルをランキング上で優遇。
  • 市場支配的地位を有する検索エンジンが自らのショッピング比較サービスを優遇。
  • ショッピング比較サービスにおける自社製品の優遇。

これらの事例は、各国競争当局がいずれも同様の行為に関心を向けていることを示している。デジタルプラットフォーム事業者をはじめとするアルゴリズム/AIを利用する企業は、アルゴリズムを通じた反競争的行為を警戒する競争当局からの厳しい監視の目にさらされている。


[1] 本報告書の全文は以下のリンクから入手することができます。https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2021/mar/210331_digital.html

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